L・V・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作125「合唱付き」
ウィリヘルム・フルトヴェングラー指揮
バイロイト祝祭管弦楽団と合唱団1951
シュヴァルツコップ(S)、ヘンゲン(A)、ホップ(T)、エーデルマン(Bs)
1951年7月29日ライブ録音
僕が中学生の頃から一番影響を受けてきたクラシック音楽の評論家・宇野功芳氏は、著書の中で“残念ながら「第九」のCDで理想的なものは一枚もない”と前置きして、このCDを一番に推しています。
CDを鑑賞するなら録音の良さも当然考慮するべきで、残念ながらこのCDは、1951年の実況録音ということで、音の古さはいたし方ありません。でも、聴いているうちにあまり気にならなくなるし、却って想像を駆使して、当時の観客になった気持ちになり聴き進むと圧倒されっぱなしの演奏です。
第1楽章のえぐりの効いた深遠なる演奏は、他の演奏が聴けなくなります。
第2楽章のテンポを動かしたドラマティックな表現で、その中にもふと郷愁を誘う部分がありたまりません。僕はフルトヴェングラーの演奏で好きなのは、ドラマティックな演奏の中にどこか悲しみ、寂しさ、迷い、惑いなどネガティブな部分がふと現れて、そこがたまらないのですが、このスケルツォでも再現部直前の名残惜しさはとても印象的です。
第3楽章の美しさはこの世のものとは思えません。この時間が永遠に続かないかなとも思ってしまいます。
第4楽章は音のドラマです。怒涛のフィナーレと観客の万雷の拍手の中で、タイムスリップした僕は、その場に立って拍手を送っています。
さて、私はこの音源で4種類の録音を所有しています。CD3枚、LP1枚です。
ここでは、EMI・21枚組のグレート・レコーディング集とイタリアで製作された全集盤の2種類を紹介します。
21枚組は、フルトヴェングラーがステージの外から登場する足音入りで、それに続く観客の割れんばかりの拍手、誰かが何かをしゃべっている言葉、そして沈黙からの演奏開始。
演奏の音も聴きやすいです。
一方のイタリア盤は、登場シーンはないですが、より生々しい音になっています。
だからインパクトのあるのはこちらの方です。
このCDは、クラシックCD通販のアリアCD店主・松本大輔氏が著書の中で紹介しているCDです。今はも手に入るかどうかわかりませんが、中古屋で見つけたら買いだと思います。
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