こんにちは、
ともやんです。
聴いていそうで聴いていない、80年代のカラヤン。
カラヤンは、1989年に81歳で亡くなっているので、まさに80年代は最後の輝きを放った時期と言えますが、手兵のベルリンフィルと上手くいかなかったり、結局最後は、亡くなる約3ヵ月前に健康上の都合を理由にベルリン・フィルの芸術監督と終身指揮者を辞任しています。
80年代は、ベルリンフィルとのごたごたで心身共に疲弊していたカラヤンは、ウィーンフィルとの関係を強め、晩年にいくつかの録音を残しています。
考えてみれば、カラヤンは、オーストリアのザルツブルク出身。
同じ言語を話し、陸繋がりのドイツとオーストリアでは、国家として違いはあったとしても感覚的には東京から大阪や福岡に行く程度のものだったのではと想像します。
それでも年齢を重ねるに従い、故郷が恋しくなるもので、もしかしてカラヤンもベルリンで活躍しながらも、望郷の思いは強かったのではと思います。
実際、自宅はオーストリア郊外のザルツブルクにあったそうです。
カラヤン&ウィーンフィル ドヴォルザーク交響曲第8番&”新世界より”
カラヤンにとっても、ウィーン・フィルにとってもドヴォルザーク交響曲第8番と第9番”新世界より”もそれこそ数える事も出来ないくらい、演奏してきたことでしょう。
だから下手をするとマンネリ的な演奏になるかもしれません。
しかし、僕はこの2つの録音聴いて、なにかよく練れた職人技を見るような、心地よさを感じるのです。
肩の力が抜けきって、どこにも力みはないのにここというツボを押さえている。
第8番は、意外と速めのテンポで、カラヤンはほとんどに何もしていないかのようで、ウィーンフィルの自主性に任せている感じ。
しかもウィーンフィルの響きのコクのあること。
しかもそのコクはしつこくなくなんと口当たりのいいものか!
“新世界より”は、もう少しゆったり目で、まさに年代物のウィスキーのような豊潤さを醸し出しています。
個人的には、カラヤンといえば夢に向かって駈け上っている頃の50年代から60年代の録音が好きですが、人生の黄昏時を感じさせる80年代後半の録音も悪くないな、という感じです。
この録音はおすすめです。
カラヤン&ウィーン・フィル ドヴォルザーク交響曲選集
アントニン・ドヴォルザーク – Antonin Dvorak (1841-1904)
交響曲第8番 ト長調 Op.88 B. 163
Symphony No. 8 in G Major, Op. 88, B. 163
1.(09:42) I. Allegro con brio
2.(11:17) II. Adagio
3.(05:35) III. Allegretto grazioso – Molto vivace
4.(10:02) IV. Allegro ma non troppo
total(36:36)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
ヘルベルト・フォン・カラヤン – Herbert von Karajan (指揮)
録音:1985年1月 ウィーン
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交響曲第9番 ホ短調 「新世界より」 Op. 95, B. 178
Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World”
5.(09:58) I. Adagio – Allegro molto
6.(12:27) II. Largo
7.(08:36) III. Molto vivace
8.(11:25) IV. Allegro con fuoco
total(42:26)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
ヘルベルト・フォン・カラヤン – Herbert von Karajan (指揮)
録音:1985年2月
ドヴォルザーク:交響曲第8番・第9番≪新世界より≫ ヘルベルト・フォン・カラヤン
チェコの巨匠ドヴォルザークの人気交響曲の揃い踏み。ボヘミアの民俗色が濃厚な第8番と、アメリカ滞在中の作曲者が祖国への郷愁を美旋律で描いた第9番《新世界より》は、共に日本人の琴線を刺激してやまない名作です。両曲を、帝王カラヤンが晩年にウィーン・フィルを指揮した、雄弁かつ壮麗な名演奏でお楽しみください。
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