レコード・アカデミー賞 エラス=カサドの第九

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2020年度のレコード・アカデミー賞の交響曲部門は、パブロ・エラス=カサド指揮フライブルク・バロック・オーケストラとチューリッヒ・シング・アカデミーの合唱によるベートーヴェンの交響曲第9番でした。

ベートーヴェンの第九は、それこそ星の数ほど(大げさ)の録音がありますが、演奏時間が僅か61分で駆け抜けるエラス=カサドの演奏は、鮮烈なイメージを与えてくれました。

ぜひ、聴いてください。

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」 Op. 125
Symphony No. 9 in D Minor, Op. 125, “Choral”

1.(13:35) I. Allegro ma non troppo e un poco maestoso
2.(13:32) II. Molto vivace
3.(12:07) III. Adagio molto e cantabile
4.(21:58) IV. Finale: Presto – Allegro assai
total(61:12)

作詞 : フリードリヒ・フォン・シラー – Friedrich von Schiller
クリスティアーネ・カルク – Christiane Karg (ソプラノ)
ソフィー・ハームセン – Sophie Harmsen (メゾ・ソプラノ)
ヴェルナー・ギューラ – Werner Gura (テノール)
フローリアン・ベッシュ – Florian Boesch (バリトン)
チューリッヒ・シング・アカデミー – Zurcher Sing-Akademie
フライブルク・バロック・オーケストラ – Freiburg Baroque Orchestra
パブロ・エラス=カサド – Pablo Heras-Casado (指揮)
録音: November 2019, Teldex Studio Berlin, Germany

ベートーヴェン: 交響曲第9番、合唱幻想曲 パブロ・エラス・カサド 、 フライブルク・バロック・オーケストラ

「第九」は、冒頭からストレートに一気呵成にたたみかけ、刻み込んでくる、パワーに満ちた演奏。これまでに様々な歴史的名演が存在する、特殊ともいえる作品のひとつですが、エラス=カサドは今まさにこの作品が書かれたかのように、新鮮に、大胆にストレートに譜面を響かせています。演奏時間は61’13(I:13:35、II:13:32、III:12:07、IV:21:59)。エネルギッシュでありながら、颯爽とした演奏に、今あらためての真の第九像を観る感すらあります。終楽章冒頭もまさに「プレスト」。しかしすべてのテンポ設定は楽譜に書かれたもので、ここでも不自然さやぎこちなさはまったくありません。エラス=カサドが、これまでの慣習にとらわれることなく、まっさらな目で緻密に譜面の検証を重ねたうえでの大胆な演奏となっております。「歓喜の歌」と重なる管弦楽も実にぴちぴちと喜びに満ちており、見事です。管弦楽、ソリスト、合唱すべてが輝かしく混然一体となって炸裂した、実に新鮮なパワーに満ちた、鮮烈な第九の登場といえましょう。

タワーレコード キャンペーン情報

2020年度 第58回「レコード・アカデミー賞」決定!受賞ディスク一覧

レコード・アカデミー賞は、音楽之友社が1963年(昭和38年)に創設したもので、1年間に国内のレコード会社から発売されたクラシック・レコードのうち、『レコード芸術』誌「新譜月評」で高い評価を得たものの中から部門ごとに演奏や録音などの最も優れたディスクを選定し、発売レコード会社を表彰するものです。2020年度の大賞はエラス=カサド指揮フライブルク・バロック・オーケストラ他によるベートーヴェン:交響曲第9番《合唱》(HMF)、大賞銀賞はガーディナー指揮イギリス・バロック管弦楽団他によるヘンデル:オラトリオ《セメレ》(SDG)、大賞銅賞はエラス=カサド指揮マーラー室内管弦楽団他によるファリャ:バレエ音楽《三角帽子》、同《恋は魔術師》(HMF)がそれぞれ選ばれました。(タワーレコード)

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この記事を書いた人
ともやん

1957年、富山市生まれ。小学生の時、NHK交響楽団を指揮する岩城宏之氏を観てから、クラシック音楽に興味をもち、今日まできました。
現在、LP、CD、カセットテープを含めて約1000枚を所有しています。
好きな作曲家は、ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームスと硬派です。
特にオーケストラ曲の名盤、珍盤、とんでも盤をご案内して行きたいと思います。
お付き合いのほど、よろしくお願いします。

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