エルネスト・アンセルメ指揮
スイスロマンド管弦楽団と合唱団
サザーランド(S)、プロクター(A)、デルモタ(T)、ヴァン・ミル(Bs)
1959年録音
第九はアンセルメがいいぜ!なんて人はまずいないでしょうが、聴く前から判断するの良くないですね。
それを実証してくれたのが、この第九の録音です。裏切られた喜びを感じる名盤です。
アンセルメは、フランス物、バレエ、劇音楽のスペシャリストで、その分野ではたくさんの名盤があります。
そしてドイツ・オーストリア物で、まずアンセルメで選ぼうって人はいないでしょうね。
でもどんな世界でもそうですが、スタイル、形式で良い悪いではないのですね。
例えば、野球の投手には、オーバースロー、サイドスロー、サンダースロー、剛球投手、変化球投手といろんなスタイルの投手がいますが、どのスタイルが良い悪いではなく、それぞれのスタイルの中に、一流もいるしヘボもいるんですね。
だから、明晰で、クリアで、爽快で、軽快なベートーヴェン演奏のスタイルでは、アンセルメ盤は、当時(1959年)として特異な存在であり、むしろ現代の古楽器スタイルに通じる先進的な演奏だったのだと思います。
第九はアンセルメは、現代だから受け入れられる名盤です。
聴かずに死ねない1枚です。
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