ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
ウィリヘルム・フルトヴェングラー指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1944年12月19日・20日ウィーン
1970年中学1年生の僕は、生意気にもクラシック音楽を趣味としようとしていました。
最初に買ったレコードは、EP盤でハイドンの交響曲第100番「軍隊」でした。フリッツ・ブッシュ指揮ウィーン交響楽団。
そのレコードはどこ行ったかいまでは分かりませんが、
次には30センチLPを初めて買いました。
カラヤン指揮フィルハーモニー管弦楽団でベートーヴェンの「運命」とチャイコフスキーの「悲愴」という豪華なカップリング。
そして次の買ったのが、ベートーヴェンの「英雄」。
そして買った演奏が、フルトヴェングラー指揮ウィーンフィル。
しかも1944年録音という曰くつきのもの。
中学生の僕は、なんでフルトヴェングラー盤を購入したのか?
しかも録音がモノラルであまり良くないし、演奏は初めての「英雄」だったのでこんなものか?という感じでした。
しかし、しかしですよ。その後、いろんな「英雄」の録音を聴きだすと
この演奏は非常に特別な状況下での、特別な演奏だったということが分かってきました。
1944年12月と言えば、ナチス・ドイツ崩壊直前。
この年の6月に連合軍がノルマンディーに上陸、
翌7月には、ヒトラーの暗殺未遂事件も起きて、
ドイツの敗戦は濃厚になってきていました。
それでもフルトヴェングラーの律儀にもベルリン・フィルとのコンサートを続けていました。
そして彼は、翌年1月28日と29日のウィーンフィルとのコンサートを行い、これが戦前最後のコンサートとなっています。
実は、ゲシュタポがフルトヴェングラーの逮捕に動き出していたのです。
優柔不断で有名なフルトヴェングラーも、さすがに命の危険を感じて、
スイスに亡命したのでした。
この辺の記録を読むと、まさに危機一髪でゲシュタポの追跡から逃れたようです。
この演奏は、そんな危険な状況下で録音されたもので、スタジオ録音と言いながら、彼の英雄の中もでもっともドラマティックなものです。
その後のこの録音を巡る逸話も有名です。
しかも、僕が現在所有しているLPの中では最古のものなんですね。
そんな記憶に思いを巡らして購入から47年経った今も聴いています。
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